すべての瞬間を大切にするわ

と、ルイーズは言った。(映画「メッセージ」の一場面から)

術後1年半、再発

今日も元気。歩いてる。ちゃんと歩けている。そう思っていたけれど再発しました。すい臓がん手術後の1年半は激アツ再発ゾーンだそうですが、まさにど真ん中のヒットです。先週CTの結果、左腎臓の静脈を包むような影、育ち盛りといった風情で。わたしが元気だと、がんも元気になるんだろうか。

しかし、未だに沈黙の腫瘍マーカーである。当初より腫瘍マーカーがぜんぜん反応してくれない体質なので、手術後は3ヶ月毎のCTで見張るしかなかったんですが、その弱点を突くように再発したがんは、なかなか立派に育っていました。腎臓の太い静脈と小腸を木の枝に見立てれば、その枝に覆い被さる小鳥の巣のようだ。

今、改めて3ヶ月前のCTを確認してもらうと、既にうっすらと誕生している気配が見えました。これは専門医が見落としてもしょうがないレベルだから恨まないけどね。

 

 ・1011日 再発ですと言われた

 前週に撮ったCTの画像を見ながら、外科S先生から言われました。頭のてっぺんから冷や水。だけど、頭の芯にはスースーと風が吹いて、妙に冴え渡っていました。涙なんて出ないし、妙に落ち着いていたけれど、時間がたつとともにえも言われぬさみしさがじわじわとやってきました。悲しいとか苦しいとか怖いとかよりも、淋しい感じ。去年の2月にがん告知されたときよりも、もっともっと荒涼殺伐とした心境。圧倒的な孤独感、寂寞感、この世界の美しさ全部がいきなり遠ざかるような感覚。再発したよと旦那さんに電話しました。

夜、仕事を終えた旦那さんが帰ってきました。台風19号の接近で眠くなって布団で寝ていたわたしに、黙って添い寝してくる。ふと見れば、彼は涙を流していました。ハンサムでホリの深い鼻筋に透明な水がたくさん溜まって流れ落ちていく。わたしより旦那さんのほうが、もっと辛いんじゃないかなと思いました。いままで患者会で出会った家族の人たちが、患者本人よりも切実で悲しい表情をしていたことを思い出す。

旦那さんが可哀相になる。お仕事は不安でいっぱい、愛車は事故って再起不能。本当にかわいくて愛して心の支えだった猫さんも亡くし、とうとう嫁はこのありさま。ああ神様、どうかこの人を幸せにしてください。

 

1015日 1年後はわからんと言われた

 

本日は、外科から消化器内科へ転科しての初回外来。新しい主治医F先生に詳細を聞きました。根堀葉堀聞きました。先週、外科S先生は「このままなにもしなければあと1年です」とおっしゃったが、今週の消化器内科F先生は「抗がん剤はやってみないとわからない。効かなければ、1年後あなたはもうここ(この世)にいないこともある」とさらにレベルを上げてくる。重粒子線やゲノム医療などいろんな可能性をお聞きするも、いま現在ベストな選択は「来週から抗がん剤、ジェムザールとアブラキサン始めましょう」に行き着く。あっ、抗がん剤の初回はわたしの誕生日、こりゃめでたい!などと無駄でスカスカで哀れなほどの強がりをまたわたしは・・・

他、セカンドオピニオンの相談もしました。F先生はなかなかフラットで協力的、いいねいいね。

そう。まだまだ人生は続くし、わたしは明日も歩くのです。今までどおりコツコツと。時にはどかーんと一発も。できることをやっていこう。重粒子線だけでなく、わたしには他にも特出しのアンダーグラウンドなネタがある。犬の駆虫薬療法からフィリピンの心霊治療まで、すでにルートは確保済みだぜ。笑。マジで。