すべての瞬間を大切にするわ

と、ルイーズは言った。(映画「メッセージ」の一場面から)

今のすべては過去のすべて

昨日、金曜は外来診療でした。抗がん剤TS-1の途中休薬からちょうど10日。唇の炎症がおさまったこと、血液検査で好中球やリンパ球の数値がまあまあ良いことから、来週5月23日よりTS-1の服用を再開することになりました。腹痛と下痢については改めて「リンパ節郭清の際に神経も切除しているため。あきらめるしかない。一生治らないのでうまくつきあってくれ」との説明。わかっちゃいるけど・・・切ないね。

午後、リンパマッサージの先生が徒歩ではるばる自宅まで来てくださり(てくてくと1時間半)、ゆっくりしっかりリンパを流していただきました。リンパ先生の手のひらは常に体温が高く、お腹を包むようにやさしく手をあててくださるだけでじんわりと内側まであたたまり、内臓たちが動き始めるのがわかります。先生は、高温の手のひらが子どもの頃は恥ずかしくて嫌だったとおっしゃいますが、いまセラピストとしては黄金の手。焼きたてジャぱんでいうところの太陽の手。選ばれし者だけが持つゴッドハンドなのです。さらに帰り際、自宅で自分で血流をアップする簡単な方法を教えてくださいました。

(1)麺棒を足の裏で転がす。指の付け根からかかとまで体重をかけながら。けっこう痛いよ。足裏には内臓の反射区がたくさん集まっているのですい臓やその他の臓器の血流を促して、機能を整えてくれるそうです。椅子の下に麺棒を置いて1日中、ころころ転がすが吉。

(2)両足をぴたっとくっつけて立ち、膝の上をきっちり縛る(私はスカーフを使用した)。その状態で1日中。座る、歩くも膝下だけで。これにより骨盤のゆがみが左右平行になり、骨盤内の血流もアップする。縛るだけで、ぎっくり腰の人も即時に歩ける。

こうしてお腹の血流がアップすれば、腹痛や下痢も少しはよくなるんじゃないかと期待。リンパ先生、いつもありがとうございます。

 

夜、テレビで「かぐや姫の物語」を視聴。公開当時、カメラマンのまっちゃんが全力で絶賛するので、よっしゃー!見るわー!と気合い入れて見に行った思い出のアニメーション映画。繊細に躍動する素晴らしい作画に酔いしれて目玉は大いに歓びを感じたけど、物語とメッセージは当時どうもハラ落ちしなかった。

それが改めてテレビで見ると、アニメーションの美しさはもちろんだけど、映画後半の内容があまりにも胸に迫り、かぐや姫の苦しみや悲しみが我が身のように感じられる。かぐや姫って実はがん患者なんじゃないかと思うほどに。がんでこの世を去りゆく人の目に映る、この世界、この自然の美しさが描かれているように感じてしまいます。「天地(あめつち)よ、わたしを受け入れて」と姫が空に舞い上がるシーンに胸が張り裂ける。そしてスチャラカ阿弥陀来迎図の後、月面にスターチャイルド。ボーマン船長も宇宙の旅の果てに胎児となったよね。みんな死んだら、生まれる前にいた場所に帰っていくのかな。

エンディング曲で、「今のすべては、過去のすべて」と歌われている。これは公開当時からほんとうに素晴らしい歌詞だと思っていました。まさに。まさに。過去のすべてが、今のわたしをつくった。誰かのせいでも何かのせいでもない。いま改めて、過去のすべてが、わたしにがんを与えたのだと思えるし。

ところが今回のテレビで初めて、2番の歌詞を知った。これには震えた。「今のすべては、未来の希望」という。まさに。まさに。今、わたしがこころから欲しい言葉、欲しい意味が、エンディング曲で歌われていたことにただ驚き、ありがとうありがとう。