すべての瞬間を大切にするわ

と、ルイーズは言った。(映画「メッセージ」の一場面から)

言葉のハグ

たとえ小さな出来事であっても、忘れたくないこと、大切に書き置いておきたいことは日々あるのです。だけど手の平に載せ、こころを傾けて慈しむことができないでいます。だからここにも書けないでいました。

 

最近は、昼間ウトウトしてしまうことが多く、どうやらからだは何かを一所懸命に修復しようとしているみたい。抗がん剤の副作用は、休薬してから少しずつ落ち着いてきたようにも思うけど、調子悪い日もまだまだ。唇の炎症はずいぶんマシに。腹痛はまだある。下痢は1日1回。抗がん剤の再開はいつだろう。休薬から2週間後なら、来週の火曜あたりかな。うっしゃ。よっしゃ。ばっちこい。ぶるぶる。と気持ちだけは強がる匹夫の勇。

 

そんな浮いたり沈んだりの日々の中で、今日はわたしを強くハグしてくれた言葉をまとめておきます。長い長い長い間、人間不信、言葉不信、自己不信のままに、それでもわたしはライターの端くれだった。書くことを仕事にしたからこそ不信はより深まったのかもしれない。言葉は、真実の圧倒的な輝きのまわりにあるもので、真実の輝きそのものではないと思っていた(川端康成などの圧倒的に美しい文章は除く)。語るなんぞおこがましいわ!と自分への憤りもあった。それでも凡人なりに何かを受け止めよう、伝えようとしてきたように思う。しかし今は、たとえ周辺にはかなく漂うものであったとしても、やっぱり言葉は大事、やっぱり超大事だと思うんです。

 

「1日に3回も下痢をすると、生きる気力ってなくなるのよー。だけど人生は楽しいものよ。生きるって楽しいよ!」 by 鍼灸先生

 

「焦りは禁物。。。なんて簡単に言えるんですが、実際は私も焦ってました。。。でも焦っても、その焦りが現実を変えてくれはしないと実感しました。ならば少し先の未来に、こうなっていよう!と口に出したりしていました」 by  リンパ先生(がんサバイバー)

 

「あなたはあなたのすい臓がんを生きて」 by Eさん

 

「とにかく淡々と無理せずそんなに落ち込まずひたすら生きるという姿勢を続けましょう。私はよくそういう主人公が何かを成し遂げるような映画を見て涙を浮かべながら背中をぞくぞくさせながらもう一度仕事に向き合います。そういう自分は生きていると感じます。生き残るために今これをやっているという感覚は病気あるなし関係なく精神を保つのに重要だと思います。」by Mさん(がん研究者)

 

「自然から離れると病気に近づく。病気から離れるには自然に近づく」by ヒポクラテス

 

「過去を追うべからず 未来を願うべからず 今を熱心に生きよ」 by 近所のお寺の張り紙

 

そう。わたしはずっと説教くさい言葉が嫌いでした。えらそーに説教する人が苦手でした。偉い人の反対は、偉そうな人だと思っていました。←これはケロロ軍曹の歌。いまは、誰が言ったなんてもういい。説教だって戯言だって何でもいいです。そのとき、こころに響くすべての言葉を忘れないように握りしめて大切にしたい。そう思ってここに書いておく。