すべての瞬間を大切にするわ

と、ルイーズは言った。(映画「メッセージ」の一場面から)

お墓のない国、タイ王国

いろいろあって現在、タイの古都チェンマイに来ています。数時間後にはもうバンコク経由の羽田便の中。

今回はチェンマイから車で3時間ほど山に入った棚田に行き、田んぼの農家民宿に泊まるというのがメインの旅。いつもお世話になっている千葉・鴨川の田んぼの先輩がたがタイに棚田視察ツアーに行くというので、チェンマイ現地合流でツアーに混ぜてもらったのでした。(日本からのツアー参加は持病のある人は無理だといわれたため。もし何かあったら迷惑かけちゃうので、自己責任で勝手に現地合流)

田んぼでの3日間、現地の米局の方や地元農家の方などからお話を聞くためにタイ語←→日本語の通訳さんが来てくださっていました。この通訳さんから、いろんな興味深いお話を聞きました。

と、前置きが長くなりましたが。

タイは敬虔な仏教国。特にチェンマイなんてまるで京都や谷中みたいに至るところお寺だらけ。なのにどこにも墓地がありませんでした。山に入ってからもお墓がありません。とても不思議に思い、通訳さんにそこを深掘り質問してみました。

なんとタイ人は王族を除き、誰一人としてお墓を持たないそうです。どんなお金持ちも、地位の高い人もお墓がない。「人が死んだらみんなでお棺を引っ張って火葬場まで行列し、お顔にココナッツミルクを塗ってお別れして、それから火葬して、そのまま骨を持ち帰ることなくその場にうっちゃる。以上」

通訳さんの解説。日本とは違う、よりオリジンに近い仏教の教えが息づくタイ王国。誰もが輪廻転生を素のままに信じているため、そもそもお墓という概念がない模様。人は死んだら終わりではなく誰もが輪廻転生するから、お墓だの先祖供養だのは矛盾するのです。当然、お寺には檀家制度もないし法事もないそうです。なのに、なんでタイのお寺はこんなにきらびやかで立派なのですか?それに、チェンマイのお寺は参拝料をとりません。一体どうやって運営してるのですか?などなど通訳さんに質問攻め。回答、タイの寺院、タイの仏教界は、すべて信仰篤きタイ人たちの寄付のみで運営されてるとのことでした。

 お墓がないのがあたりまえ。死んだら焼いておしまい。

いやーびっくりした。なんだか爽やかだと思いました。なんだか素晴らしいと感じました。

えらく感銘を受けたので、棚田ツアー参加者の皆さん(60代、70代の方々)にこの話を受け売りトークしてみたら、ご一同もまた驚き、絶賛、シンパシーの嵐。皆さんお墓やお仏壇のことが悩みの種になる年代であるし、自然を愛し、土を愛し、農作を嗜む人びとゆえに、お墓を持たないタイ人の死生観には、憧れに近い感情がわき上がるのです。多分。

 

「お墓のない人生は、はかない人生どすなぁ」by 川波忠兵衛

そんなローカルCMを見て育ったけれど、はかなきものこそ美しく愛おしい。タイっていい国ですね。ますます好きになりました。

 

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