すべての瞬間を大切にするわ

と、ルイーズは言った。(映画「メッセージ」の一場面から)

術後の痛みについて<その1>

手術から半年たつというのに、実は左脇腹がちくちくシクシク痛いのです。常時ではないけど、痛み出すと数時間。それが1日に何度も。主治医は、「もう術後の傷は外側も内側も治癒してる」といいますが、左脇腹の奥からわき出すような痛みは、半年後の今もずっと退院した頃と同じテンションと頻度でシクシクうずき続けています。切り傷や骨折、青たんなど外傷ならば時とともに少しずつ痛みが軽減し、半年もたたずに消えていくのが常なのになぁ。なんだか不安。

「ガンによる痛みなら、24時間ずっと続きます。でもあなたのは断続的。だから心配ない。あなたの手術時には、お腹の神経叢を大きく郭清しました。このため神経が誤作動をおこし、術後の傷はもう治っているのに脳に痛みの信号を送っていると思われます。」外来時にたびたび痛みを伝えるわたしに対し、主治医の説明は以上のようなものでした。うーん。よくわからない。イメージできない。腑に落ちない。

今まで出会ったすい臓がんで手術した方たちに、「脇腹の痛みはどれくらい続いた?半年後もあった?」と毎回聞いていたけれど、どの方も「そんなに痛みは続かなかったなー」という答え。うーん・・・

そんな折、先日のCTで、手術後の患部ステープル(すい臓を切った後の傷はテープで貼ってあるらしいぞ!)沿いに膵液漏れの嚢胞があるのがわかりました。わたしは「膵液って消化液だし・・・漏れた汁がお腹の中をジワジワと溶かしてるせいで痛いんじゃないの?」という妄想にとりつかれてしまい、怖くて痛くてマイ リトル チキンハートを持てあましておりました。

主治医も「痛いなら、痛み止め出しますけど」の一点張りで、根本的に痛みの原因を取り除きたいというわたしの希望とは違うものだし。

そんな折り、違う答え、違う対策を知りたいわたしは、8月に開院されたばかりという「早期緩和ケアクリニック」という新機軸なクリニックの存在を知りました。新機軸だけあって自費診療。腹も痛いが財布も痛い。でもこのまま漏れた汁に内臓をじわじわ溶かされ続けるのは忍びないです(妄想)。

一般にいう緩和ケアはわたしの病期や状態からはまだ早いのですが、そうじゃなくて「早期緩和」。その意味や考え方を知るにつけ、クリニックがわたしに「おいでよ!」と言っている気がしたのです。それで先週、行ってきました。

予約時に相談ごとをメールで送っていたので、初診時、診察室に入るなり院長先生は速攻で回答と詳細説明をくださいました。医学専門書の、同じ事例のコピーもくださいました。

 

「遷遠性術後痛」せんえんせいじゅつごつう

 

術後の痛みが3ヶ月以上続き慢性化したもので、手術後2〜10%の人にあらわれる症状、とのこと。原因は複合的でひとつではないため根本的な改善は困難。若者、女性、不安傾向の強い人に多く出る症状らしい。なんかメンタル弱いやつ認定されたみたいでトホホなんだけど。そして、手術後早期に強い痛みがあった人にも出やすい症状だそう。まさにわたしのこと。手術後、鎮痛剤があんまり効かなくて、絶叫悶絶の日々を送っていた入院生活を思い出しました。痛みの原因は神経の誤作動。手術によって脳に信号を送るルートが変わり( or 新たに生まれ)、痛みの原因がないのに「痛い」という信号が送られ続ける症状とのこと。ちなみに痛みの原因は、汁漏れではまったくない。汁が漏れていても、袋(嚢胞)の中に溜まってるだけだから、周囲を溶かすわけなんてないですよ?と。「えっ。袋に入ってるんですか。その袋って何で出来ているのですか?」「何って、、、皮みたいなものです」「ええっ、皮って!?」「臓器の表面を覆っている組織がふくらんで、伸びて袋状に。その中に膵液が溜まっているのです」という説明。わかりやすい。まずは安心。痛いけど安心。そして妄想終了。

結局、主治医の説明は正しく、わたしの理解力が浅かったわけです。先生ごめんなさい。でも主治医の説明は、不安を煽りこそすれ安心をくれるものではなかったのは事実です。今回、このクリニック院長のような丁寧でわかりやすい説明を主治医からいただければ、どんなに安心できたことでしょうか。と、言ってもしょうがないですね。説明トークの上手・下手は個人差があります。緩和ケアの専門医、やはり餅は餅屋。まずはこころが緩和されたぜ。涙。感謝。

対処法としては、やはり鎮痛剤を使用することだそうです。「傷みを感じる→その都度自分ががんであることを自覚する→不安になってヘタレる。→こころに余裕がなくなり他のことが手につかない。→暗い未来を想像してさらにヘタレる。」これがよくない、QOLが下がると理解しました。

痛み信号の伝達ルートができあがり、6ヶ月も続いていることから、この先、症状が一生続く可能性は高いでしょう、とのこと。QOLを保つためにもやはり薬を上手に使っていくのが吉で、上手にコントロールするうちに、中には痛みそのものが低減する人もいるとのことでした。

 一生か・・・orz。鎮痛剤以外にできることは?の質問には「痛みそのものが消えることを“願う”ことですねー」だってさ。

痛いの痛いの飛んでけー。願うって、こうですか?

 

長くなったので続きはまた明日