すべての瞬間を大切にするわ

と、ルイーズは言った。(映画「メッセージ」の一場面から)

戦友が旅立った

同じ病を持ち、わたしを戦友と呼んでくださった方。ジャーナリストの恵谷治さんが5月20日、すい臓がんで旅立たれました。

治さんは、長らく親しくしてくださっているわたしの先輩であり大切な友人のご家族。それとはまったく関係なく、北朝鮮に興味を持っていたわたしは一読者としてサピオなどで記事を愛読し、ミサイル発射のたびテレビでお見かけし、最近は漫画の表紙にもそのお名前を見ていました。今年になって、桜満開の頃だから2ヶ月ほど前ですが、治さんがわたしと同じすい臓がん患者であることを知りました。(ブログの過去記事に少し書かせていただいています)

病歴は1年ほど先輩で、がんの発覚から膵頭部を残しての手術、化学療法と、経緯がわたしによく似ていて。こんな身近に。すい臓がんと生きる日々やその心情を、分かち合えた気がしていました。いっしょにがんばりたい、家が近所だったら毎朝散歩やラジオ体操に誘いに行くのに。そんなふうに思っていたし、近いうちにご自宅へ遊びに行こうとも。お手紙を書いたら返事の代わりに「空母いぶき」の万年筆をくださった治さん。その矢先でした。

6月のすい臓がんカフェ参加募集始まりましたよ、ご一緒にどうですかなんて言っていた。夏の旅のご予定も聞いていた。あれから10日もたっていない。だからなんで?なぜ?しか出てこない。早い。

北朝鮮問題がいま急速に進展する中、見届けなくてはいけない人でしょう?あったかいファミリーに囲まれてこれから平穏でこころ豊かな人生が続くんでしょう?治さんは、わたしのように生きることに執着しなかったのですか。人生やるべきことをやりきったのですか。どんな思いで旅立ったのですか。

聞きたかったことがたくさんあるけどもう何もわからない。でもひとつ絶対の事実でわかっていることがある。治さんは最後まで孤独ではなかった。ご家族がいつも側にいたこと。ご家族の方、ここに、勝手にわたしの気持ちを書いてごめんなさい。誰でもいいみんなに読んで欲しい。治さんお疲れさまでした。ありがとうございました。

治さんは治さんのすい臓がんを生きた。わたしはわたしのすい臓がんを生きる。